ざっくりSQL入門 #3：クエリを書く＜SELECT編＞

※MySQLを前提に書いています。一部関数などは方言差がある場合もあるのでご注意ください。

今回はSELECTクエリについて。

SELECTクエリとは

データベースに入っているレコードを抜き出すクエリです。ただそれだけ。

基本の書き方

構文

SELECT 【カラム名（複数ならカンマ区切り、「*」とだけ書けば全カラム）】
FROM   【テーブル名】
WHERE  【条件式（WHERE句自体を省略すると条件なし、つまりテーブル全件）】

例文

-- 「table_name」というテーブルから、「id」が1のレコードの、「id」「hoge」カラムを抜き出す
SELECT `id`, `hoge`
FROM   `table_name`
WHERE  `id` = 1

補足

やや長くなるので、項目ごとに折りたたんでいます。（クリックで展開/折りたたみ）

◆可読性に関わるいろいろ

• 「SELECT」「FROM」などは小文字でもよい（可読性などを考慮し、好みで選んでよい）
• 改行しなくてもよいし、「SELECT」「FROM」などの後に改行してもよい
• インデントも常識的な範囲で好きなように入れてよい
• 最後にセミコロン（;）を入れることで終了を明示的にできる
  • 入れなくても動く
  • 複数のクエリをまとめて実行したい場合は各クエリの最後に入れる
• テーブル名やカラム名などはバッククォート（`）で囲むのをオススメする
  • 可読性が上がるし、予約語を使用したカラムも使えるようになる

-- 改行しなかったりセミコロンを入れたりバッククォートで囲んだり
SELECT `column_name_1`, `column_name_2` FROM `table_name`;

-- 複雑なクエリになると改行を多めにしたりインデントをキメたりした方が読みやすくなる
SELECT
  `column_name_1`
 ,`column_name_2`
FROM
  `table_name`
WHERE
  `column_name_1` = 'hoge'

◆条件式の書き方いろいろ

-- ※下記のように、数値や文字列などの固定値を記述する際は、
--   ・文字列や日付などはシングルクォート（'）かダブルクォート（"）で囲む
--   ・数値は囲まなくてよい（囲んでいる場合もエラーにはならず、いい感じに判別はしてくれる）
--   ・NULLは囲まない

A = 1 -- Aが1に等しい
A > 1 -- Aが1より大きい
A >= 1 -- Aが1以上
A <> 1 -- Aが1以外
A IN (1, 2, 3) -- Aが1か2か3のいずれか
A NOT IN (1, 2, 3) -- Aが1でも2でも3でもない
A IS NULL -- AがNULL
A IS NOT NULL -- AがNULL以外
A BETWEEN 2 AND 5 -- Aが2以上5以下
B LIKE 'abc%' -- Bが「abc」から始まる文字列（%は「任意の0文字以上の文字列」）
B LIKE 'abc_' -- Bが「abcd」「abce」など、「abc」と任意の1文字で構成される文字列（_は「任意の1文字」）
-- LIKEにて「%」「_」自体を文字として扱いたい場合は前に「\」を付けてエスケープします。

◆複数の条件を設定するときは

「AND」「OR」を使用して、複数の条件を設定できます。
必要に応じて丸括弧で括ります。（大半のプログラミング言語と同様に、ORよりANDが優先されます）

-- hogeが1かつfugaが2
SELECT * FROM `table_name` WHERE `hoge` = 1 AND `fuga` = 2;

-- hogeが1もしくはfugaが2
SELECT * FROM `table_name` WHERE `hoge` = 1 OR `fuga` = 2;

-- 「hogeが1もしくはfugaが2」かつ「piyoが3」
SELECT * FROM `table_name` WHERE ( `hoge` = 1 OR `fuga` = 2 ) AND `piyo` = 3;

-- 「hogeが1」もしくは「fugaが2かつpiyoが3」
SELECT * FROM `table_name` WHERE `hoge` = 1 OR `fuga` = 2 AND `piyo` = 3;

◆今の段階ではほとんど必要ないけれど…

クエリが複雑になればなるほど、以下のような書き方を多用することになります。

• 「テーブル名 AS 別名」「カラム名 AS 別名」のように、ASを用いて別名を付けることができる
• 「テーブル名.カラム名」のようにドットを挟んで書くことで、どのテーブルのカラムであるかを指定できる

-- カラムに別名を付けてみたり、明示的にどのテーブルのカラムであるかを指定してみたりする
SELECT
  `table_name`.`hoge` AS `new_hoge`
FROM
  `table_name`
WHERE
  `table_name`.`id` >= 100;

-- テーブル名に別名を付ける場合、もちろんSELECT句などでもその名前を使う
-- （結果セットは上記クエリと同じになる）
SELECT
  `fuga`.`hoge` AS `new_hoge`
FROM
  `table_name` AS `fuga`
WHERE
  `fuga`.`id` >= 100

いろいろなオプション

結果セットのソート（並び順）を変えたい

例えば「更新日時が新しい順で並べたい」「商品の価格の高い順で並べたい」という場合ですね。

SELECT ... FROM ... WHERE ...
ORDER BY 【並べ替え基準のカラム名】 【昇順(ASC) / 降順(DESC) ※省略した場合はASCとみなされる】

という書き方になります。
複数のソート条件を付けたい場合はカンマ区切りで書きます。
このとき、「強いソート条件」から順番に書いていきます。
例えば以下のような感じ。

-- 価格の高い順（降順）で、価格が同じ場合は商品名の昇順
SELECT ... FROM ... WHERE ...
ORDER BY
  `price` DESC
 ,`product_name` ASC

ついでに、応用編な書き方も挙げておきます。（クリックで展開/折りたたみ）

◆特定の値を優先する

例えば「オススメフラグのついた商品は必ず先頭にしたい」だとか
「販売期間が終了した商品は(表示はするけど)必ず最後にしたい」といったケース。
以下のような書き方で実現できます。

-- オススメフラグがON（recommend_flag = 1）＞ 価格降順 ＞ 商品名昇順
SELECT ... FROM ... WHERE ...
ORDER BY
  `recommend_flag ` = 1 DESC
 ,`price` DESC
 ,`product_name` ASC;

-- 販売期間が終了したもの（sell_end < 現在日時）は後回し ＞ 販売期間昇順
-- つまり、「販売最終日が今日, 1日後, 2日後, ... ,(最も未来のもの), (最も過去のもの), ..., 2日前, 1日前」というような並び
SELECT ... FROM ... WHERE ...
ORDER BY
  `sell_end` < NOW() ASC -- 現在日時は「NOW()」関数で得られます
 ,`sell_end` ASC

このように、特定の値を優先/後回ししたい場合も、「優先したいか後回しにしたいか」ではなく、
「強いソート条件」から順番に書いていきます。
「優先したい条件」ならDESC、「後回しにしたい条件」ならASCを付けます。

◆ランダム順にしたい

ゲーム性のあるものや抽選系の機能、
もしくは「オススメユーザー」のような感じである程度のランダム性を持たせたいことがありますが、
ランダム値を返す関数と併用することで実現できます。

-- 価格降順 ＞ ランダム（＝基本的に高い順だが、同じ価格ならランダムで順番を変える）
SELECT ... FROM ... WHERE ...
ORDER BY
  `price` DESC
 ,RAND();

ただし、この方法はコストが高い（要するに重くなる）のでオススメしません。
過去に速度検証や代替案のエントリを残しているので貼っておきます。
ランダムで取得＆速度検証 - アナログCPU：5108843109

結果セットの件数を制限したい

例えば10万件の商品を扱っているECサイトで、
商品一覧ページを開いても10万件表示されたりはしませんね。
だいたいはページャーがついていて（もしくは一番下までスクロールすると新しく読み込まれて）
10件ずつだとか20件ずつだとか、少しずつ表示しますね。
こういった場合、以下のように「LIMIT」句を用います。

SELECT ... FROM ... WHERE ... ORDER BY ...
LIMIT 【何件目から取得するか ※0始まり：省略すると0とみなされる】, 【何件取得するか】

例えば以下のような感じ。

-- 1～10件目 の10件を表示
SELECT ... FROM ... WHERE ... ORDER BY ...
LIMIT 0, 10 -- 0から始まるので

-- 11件目～20件目 の10件を表示
SELECT ... FROM ... WHERE ... ORDER BY ...
LIMIT 10, 10 -- しつこいようですが、0から始まるので

同一データを省きたい

結果セットの中に全く同じレコードが存在する場合、「DISTINCT」句を使うと重複を省くことができます。

SELECT DISTINCT 【カラム名 ※通常通りの書き方】 FROM ...

具体例があった方がイメージしやすいかもしれません。
例えば以下のような「product」テーブルがあるとします。

id	product_name	color
1	Tシャツ	緑
2	Tシャツ	青
3	Tシャツ	白
4	タンクトップ	白

ここで、「商品名(product_name)の重複がない一覧が欲しい」だとか
「商品に関わらずカラーバリエーション(color)の一覧が欲しい」という場合、以下のように書けばOKです。

-- （参考：重複あり）結果セットは「Tシャツ, Tシャツ, Tシャツ, タンクトップ」の4レコード
SELECT `product_name` FROM `product`;

-- 結果セットは「Tシャツ, タンクトップ」の2レコード
SELECT DISTINCT `product_name` FROM `product`;

-- 結果セットは「緑, 青, 白」の3レコード
SELECT DISTINCT `color` FROM `product`;

参考文献

MySQL のNULL ではまったことあれこれ - Slow Dance